食欲の秋<br>おすすめの食薬ごはんと<br>活用できる食材・道具

食欲の秋
おすすめの食薬ごはんと
活用できる食材・道具

季節の食材を知って、毎日の食生活を豊かに。
食べて元気になれる、栄養豊富な旬の食材をご紹介します。

白露・菊の節句・菊花茶

夏の名残がほんの少し残る中、秋の気配がしっかりと感じるようになりました。
この時期の9月8日以降は、白露(はくろ)と呼ばれ、空気が冷え、草葉に白露・白い玉が見受けられるようになる頃。
朝夕は涼しく、夜は鈴虫が鳴き、店先では秋食材が並び始めています。

明日の9日は重陽、五節句の一つ。
菊の節句とも呼ばれ縁起がよく、延寿の力があるそうです。食用菊を見かけたら、よく料理に使ってみます。
生菊花の下処理をする時は、熱湯に酢を少々加えてサッと湯がき、冷水に入れて色止めします。
水気をしっかり絞って、甘酢に漬けると保存がきき、鮮やかな色味が添え物など何かと重宝します。
刺身のツマにも添えられる菊は抗菌、解毒作用が期待でき、ビタミンCなども豊富。
山形の延命楽は八重の美しい紫色、香り高くシャキシャキとした食感が魅力的ですし、ネットで見かけ購入した菊の乾燥シートは海苔のように巻物などに使用でき、とても美しい仕上がりに。

食用菊とは別のお茶に加える菊花は、生薬であり眼精疲労に効果的です。
主に抗菊、甘菊、除菊(白菊)の三種があり、ビタミンAなど眼に良い成分が豊富。
クコを加えると甘みもでて飲みやすくなりますし、この組み合わせは飲む目薬と呼ばれるほどの薬膳茶。
時間帯としては、乾燥も気になる季節、リラックスタイムに華やかな菊茶はいかがでしょう。

【使用した道具】ガラス耐熱ポット、ミニざる


秋みょうが

秋みょうが、美味しいですよね。小ぶりのサイズを目にしたら、早々天つゆや香り塩を仕込みます。
薄く衣をつけた揚げたてのみょうがを一口でほうばると、香りが鼻を抜け、しゃきしゃきした食感が何とも心地よい。
初秋の醍醐味ですね。
暑い日ならそうめんの付け合せにも最適です。

みょうがの香り成分には発汗作用があるので血行を良くし、消化をよくする効能も期待できます。
色も美しいので、何かとお料理のアクセントになりますね。
3〜4月頃が旬の茗荷竹は若い頃の茎で、天麩羅におすすめです。
7月ごろの早(わせ)茗荷は比較的小ぶりで、八月に入ると赤く丸みを帯びて秋茗荷となります。

みょうがをさっと茹で、熱い内に甘酢に漬ければ鮮やかに発色し、日持ちするピクルスになります。
これを刻んでご飯に混ぜれば即席のお寿司がすぐに作れます。
茗荷をつけた甘酢に焼き鮭やじゃこをくぐらせてご飯に混ぜると、さっぱりとした旨味で、食欲がない日にも箸が進みます。

【使用した道具】ガラス保存容器(500ml)、蓋付ボール


天然舞茸

乾燥の舞茸が神楽坂の店舗にも入荷しました!
またスーパーにもたくさん並ぶようになっています。
先日行きつけのスーパーに地元の伊豆の農家さんが作った、立派な舞茸が入っていましたので、買ってみました。
食べると舌が舞うようなので舞茸です。
包みを開けただけで、キッチン中に舞茸の香りが広がりました。
まずは鮮度が良いうちに、この香りと凝縮した美味しさを一番楽しめる天麩羅で楽しもうと思います。
圧搾製法のごま油が入荷したので、早速使ってみました。
さっぱりさっくりし上がったので、最後の仕上げは美味しい粗塩をパラリとふって、天然素材の酢橘を一絞り!

舞茸は、きのこの中でも抗がん作用が群をぬいて高く、疲労回復や美容にも良いという優れもの。
免疫力を上げるビタミンDやβ-グルカンが豊富です。

購入する時は、かさがピンと張り、軸がかたくしまっているものを選ぶのがポイント!
金気を嫌うので、下ごしらえする時は、包丁で切らず、手でほぐしましょう。
汁物や煮物に入れると、黒っぽくなることを覚えておくといいですね。
ちなみに舞茸には、お肉が柔らかくする効果があるので、肉と一緒に調理するのもお勧めです!

【使用した道具】網付きざる、ステンレストレイ


醤油麹・手作り発酵調味料

麹は蒸した穀物や豆に麹菌という微生物を繁殖させたもの。
「米麹、麦麹、豆麹」などの種類があります。
しょうゆ麹はしょうゆに米麹を加えてさらに発酵させたものです。

舞茸は、きのこの中でも抗がん作用が群をぬいて高く、疲労回復や美容にも良いという優れもの。
免疫力を上げるビタミンDやβ-グルカンが豊富です。

アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼのこの三大消化酵素が独特のうまみを作り、細胞を活性化させるのでエイジングケアや疲労回復などに効果があります。
砂糖やみりんを使用しなくてもまろやかに仕上がるので、ダイエットにもおすすめ。

【作り方】
・麹(200g)一袋を袋の上からもんで細かくし、ボールに入れてさらに手でこすり合わせるようによくすり合わせ細かくします。
・消毒した保存容器に入れ、醤油400〜450ccを注いで混ぜる。(1対1の割合でも良いのですが、麹や醤油の濃度によって水分が足りない時があります。ある程度加えたら様子を見て好みの加減に足して下さい)
・常温で1〜2週間くらい1日1回ふるか混ぜるかしてトロミがでたら出来上がりです。(発酵メーカーがあれば60度で一晩で出来ます。)

【使用した道具】保存容器(700ml)、ステンレスボウル


納豆

最高の美容食、納豆。
美肌効果が高いうえ、骨を強くし腸内を整え、血圧を下げるといい事ずくめの発酵食品。
5大栄養素のタンパク質、炭水化物、ビタミン、ミネラルに加え、特に体内で合成できない必須アミノ酸をバランスよく含みます。
大豆が納豆になると皮膚の再生を促すビタミンB群は約6倍、シミやシワ、生活習慣病を予防するレシチンは約1.5倍と言われています。
レシチンは寝る前に食すと美肌作りに有効です、睡眠中に肌は作られるといわれるので、夕飯におすすめです。

おすすめ「発酵醬ダレ」
このタレはごはんやお豆腐にのせるだけでも良いですが、これから出番の多いおうどんやパスタのタレとしても◎!

【作り方】
・すり鉢に納豆、豆板醤、ごま油、すりごま、卵黄、味噌を入れてすり混ぜる。
好みで梅干しや少しの甘み、三つ葉、ねぎなどを加えても美味しいです。
ごま油がポイント。

納豆は、元気の源かもしれません。
心と体を整え、未来をも変える食の大切さを分かち合えたら嬉しいです。

【使用した道具】すり鉢、すり棒、ガラス容器、醤油入れ


蓮根

蓮根は調理の仕方によって、いくらでも表情を変えることが出来る魅力的な野菜。蓮根に含まれるポリフェノールには抗酸化作用や殺菌作用があると言われていますが、この成分はわずかながら皮の方に多いのです。
なので、剥いてしまうのはもったいない。
私は、たわしでこすって調理します。
香ばしさも感じて美味しいなぁと思うのですが、皮の硬さが気になる方は包丁の背でこそげたり、薄く剥いて下さい。

スッと糸引く縦切りもおすすめ、切り方や厚さによって食感が変わります。
散らし寿司やお稲荷さんには薄切りでさっと茹でてから甘酢漬けにし、胡麻と合わせると美味さが倍増します。

すって加熱すると自然なとろみがつきます。
椀ものなどや葛湯に加えると喉の痛みや咳が鎮まります。
小鍋に300ccの水とすりおろし蓮根大さじ4を入れて中火にかけ、煮立ったらアクをとりながら5分ほど煮て、醤油少々で味つけし、椀にもっておぼろ昆布を添えて完成です。

蓮根はビタミンCも豊富です。
レバーなど鉄分が多い食材と合わせた煮物や炒めものなどにすると相乗効果で貧血予防にも良い一皿になります。
コロンと丸い小さめの先方部分はシャキシャキした食感、掘り立ては生でも食べれ、梨のような風味です。
長方形の部分はデンプンが多いのでとろみが多いようです、料理によって使い分けると楽しいですよ。

【使用した道具】すり鉢、あく取りざる、ピーラー


秋のフルーツコンポート

自然のサイクルは偉大です。
人間の体調に合わせるべく、四季の食物が先手を打つように実りの時期を迎えます。
秋のこの時期は、体の内も外も乾燥に対するケアが大切。
肺や呼吸器を潤すと水分がより良く体に巡るので、お肌も元気になりますよ。
今が旬の梨、イチジク、柿などの呼吸器系の状態を整える果物の薬膳コンポートはおすすめめのデザートです。

柿は体を冷やしますが、カロテンが豊富で粘膜を保護し、二日酔いにも効果的。
体を温めて気のめぐりを良くするシナモンや八角などのスパイスと合わせます。

【作り方】
・柿1個、梨1個、イチジク2個の皮をむき、食べやすい大きさに切ります。
・鍋に水500cc、白ワイン100cc、氷砂糖150〜200g、八角、シナモン、カルダモンなど好みのスパイス適宜を加えて中火で煮る。
・氷砂糖が溶けたら、梨を加えて10分ほど弱火で煮て、柿とイチジクを加えてさらに8分ほど煮ます。
・粗熱が取れたら冷蔵庫で冷やし、好みで蜂蜜や柑橘をほんの少し落としても美味。
便通作用を促し、咳や痰に有効な秋の果物を美味しく堪能してください。

日々の食を何となく口にするより、食材の持つさまざまな効能を実感しながら、心と体が潤うメニューを心がけると免疫力もアップし、お料理がグンと楽しくなります。

【使用した道具】保存用器 (1L 2Lなど)、ステンレストレイ、薬味さじ


老化防止のためのケアとしてや大切なのが、腎の機能を元気にする事。
生命力を司る肝腎要の腎の弱りは、足腰のだるさや頻尿、抜け毛など、老化という現象をひき起こします。

腎を助ける食材として、中医学薬膳では栗が知られています。
旬の栗は美味しいだけではなく、ビタミン類が非常に豊富。
繊維も多く、抗酸化作用のタンニンも含まれているので、栄養学的にもとても美容にも嬉しい食材です。

もち米をひとつかみ加えたお米と栗を合わせると脾胃(ひい)の働きを助け、疲労を回復が期待できます。
毎年この頃になると作る栗ご飯のレシピをご紹介します。

【作り方】
・米2合に対し、調味料は、酒大さじ2と天然塩小さじ1/2、薄口醤油または、醤油麹 小さじ1/2に、ほんの少しの米油を加える。
・栗を剥いたあと、浸るくらいの水に、塩と砂糖少々を加えてうっすら下味をつけて炊く。
一手間ですが、栗の香りと甘みが引き立ち、和食屋さんの味に近づきますよ。
渋皮に含まれるタンニンには抗酸化作用があるので、好みで皮を少しつけて炊いてもよいでしょう。
栗は、密封袋に入れて冷蔵庫で数日間置くと甘くなるそうです。

【使用した道具】土鍋 (ごはん鍋) 、ステンレスざる、保存容器 (平たいもの)


胡桃

9月30日は「くるみの日」だそうです。
薬膳では昔から、ボケ防止に良いとされています。
実際にくるみは必須脂肪酸のオメガ3を多く含み、脳を活性化させることが現代栄養学でもわかっています。
手軽に摂取できるのも嬉しいですね。
私はいつも、旦那さんや高齢の母の散歩時に、小さめのフィグ(イチジク)や手製のナツメなどのドライフルーツと小袋に入れて持ち歩き、小腹が空いた時に口にしてもらってます。

サッと食べれる お茶漬けのタレにもくるみがとてもおすすめです。特に、鯛のお刺身などと合います。

【作り方】
・小鍋に砕いたくるみ、カシューナッツ、ごまを、順に加えて焦げないように乾煎りして、すり鉢でよくする。
・ペーストになるまで、濃いめの麺つゆで好みの濃度にのばす。
・その後、新鮮な鯛のお刺身をくぐらせる。
・熱々のご飯にのせ、おろしわさびや紫蘇、海苔など、を好みの薬味を添えてまずは、少しいただく。
そのあとは、お茶か出汁を注げば贅沢な鯛茶漬けの出来上がりです。

くるみは血流の改善を促したり、コレステロール値を下げるなどのほか、良質な脂質が腸を潤し便秘改善にも嬉しい食材。
1日に摂ると良い目安量は、7、8粒くらいといわれています。

【使用した道具】すり鉢、すり棒、土鍋 (煮込み用)

季節の食材とそのパワーを感じながら、知って心も体も喜ぶ毎日を過ごしませんか?


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